あなたの遺物を、探しに

月詠みの指輪

古い工房の台帳には、こんな記述がある

「月詠みの指輪はかつて、術師たちが杖の代わりに用いた触媒であった」魔法が指を通るたび、革の境界は青く染まっていった、熟達した者ほど、その青は深く濃かったという

今、その魔法を行使できる者はいない

残されたのは、青く染まったままの境界だけ
Vesperの青は、誰かが積み重ねた魔法の、時間の、痕跡の色

かつてここに流れていた誰かの意志の残り香

月縁の印章

ある古老の覚書に、こんな一節がある

「この文様に、意味はない—と古老は言った。ただ、月詠みの道を歩んだ者の多くが、 入門の前にこの形を選んでいた、なぜこの文様に引き寄せられるのか、 誰も説明できなかった」

月がそう決めているのだと、 ある者は言った月縁の印章は、流派への入口に立つ者のための装身具

まだ何者でもない

けれど、すでに月に選ばれているような気がする夜がある